daikyuunoshoのブログ

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ついにインドが日本をGDPで追い抜く!

先日のニュースで、インドの名目GDP国内総生産)が2025年に日本を上回る見通しとなった事を知った。

国際通貨基金IMF)の推計によると、インドのGDPは同年に4兆3398億ドル(約670兆円)となり、4兆3103億ドルの日本を抜いて世界4位に浮上するそうだ。

円安でドル換算の日本のGDPが目減りし、従来予測より逆転時期が1年早まる事となった。

日本の人口減少、インドの人口増加を考えると仕方ないと思うがこれからどんどん発展途上国GDPで抜かれていく流れは加速する事を印象付けた内容に感じた。

 

ただ、日本の人口は約1億2400万人。

インドの人口は約14億3000万人。

 

なので、国民一人当たりのGDPはまだまだ日本が10倍以上であることも忘れてはならない。

まだまだ日本の国民一人当たりの生産性は世界トップクラスなのである。

インドの証券取引所

インドを代表する証券取引所は、「ナショナル証券取引所(NSE)」「ボンベイ証券取引所(BSE)」の2つです。

インド国内の取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表す主な「株価指数」としては、ナショナル証券取引所の「Nifty 50」、ボンベイ証券取引所の「SENSEX」の2つです。

 

 

 

M&Aによる進出②

引き続き、M&Aに関する基準を綴っていく。

 

会社法

①決議基準

企業買収をする場合、その買収比率を決める重要な要素は、株主総会の決議基準である。

会社法上、普通決議は出席議決権数の過半数(50%+1株)であり、特別決議は75%以上と定められている。

 

②株式譲渡

会社法上、株式譲渡手続きは、売主買主双方により署名された株式譲渡申請書及び添付書類(株券原本を含む)が会社に提出されることにより行われる。

株式に譲渡制限が付されている場合には取締役会において譲渡承認手続きを行い、それに基づき株券への裏書と株主名簿の書き換えが行われることにより、株式譲渡手続きが完了する。

なお、株式譲渡申請書については、所定の印紙税の納付がされなければならない。

 

【企業結合規制】

競争法上、いかなる個人または事業者も、インド国内の関連市場における競争に対して著しい悪影響を及ぼすか、またはそのおそれがある企業統合を行うことはできず、これに違反した企業統合は無効と規定されている。

 

日本企業がインド企業とのM&Aによりインドに新規に進出する場合、インド国内でのシェアの拡大はあまり生じず、企業結合届出を行う必要が生じることはあまり想定されない。

 

日本企業自体の事業規模が一定規模を超える場合、インド競争委員会への事前届出自体は行う必要があるため、M&A実施のスケジュールに影響を与えることになる。

 

①要件

個人もしくは事業者による他の事業者の取得、または事業者の合併の中で、結合後に取得者(または取得者グループ)と被取得者を合わせて以下の8つのいずれか1つの基準に該当する場合、競争法上、事前届出の対象となる企業結合に該当する。

 

「取得者グループ」とは、直接または関節に、

⑴26%以上の議決権を有する関係にあること

⑵取締役会メンバーの過半数を指名していること、または

⑶経営または業務を支配していることのいずれかを満たす関係にある2以上の企業グループをいう。

 

〈取得者と被取得者の合計〉

[インド国内 資産]200億ルピー超

[インド国内 売上]600億ルピー超

[インド国内外 資産]10億米ドル超(うちインド国内で100億ルピー超

[インド国内外 売上]30億米ドル超(うちインド国内で300億ルピー超)

 

〈取得者グループと被取得者の合計〉

[インド国内 資産]800億ルピー超

[インド国内 売上]2,400億ルピー超

[インド国内外 資産]40億米ドル超(うちインド国内で100億ルピー超

[インド国内外 売上]120億米ドル超(うちインド国内で300億ルピー超)

 

②例外

ただし、インド国外でのみ発生する企業結合であって、インドの市場に対する関連、効果が重大でないもの等一定の企業結合については、通常届出は不要であるとされている。

 

また、支配、株式、議決権または資産が取得されようとしている事業者のインド国内の連結ベースでの資産が35億ルピー以下またはインド国内の連結ベースでの売上高が100億ルピー以下の場合、届出は不要である。

さらに、2022年3月26日までの5年間、

⑴上記適用除外基準は維持されつつ、当該基準は合併の場合にも適用されることが明確化され、

⑵事業の一部譲渡の際の適用除外の算定対象は当該譲渡対象事業にかかる監査済み財務諸表に基づくインド国内における資産または売上高であり、譲渡会社の資産または売上高を基準にするものではないとの解釈も示された。

 

 

③手続き

届出義務がある場合、企業結合に関する当事者の取締役による機関決定または拘束力のある合意があった日から30日以内に届出を行う必要があったが、事案に応じて十分な情報を揃えて届出することができるよう、インド企業省による2017年6月29日付け告示により、かかる期間制限は同日から5年間適用除外となっている。

届出の書式には2種類あるが、通常は、簡易な様式である様式1号にて届出する。

 

当該届出の後、インド競争委員会は、届出内容を審査し、当該企業結合が競争に著しい悪影響を及ぼさない、または及ぼすおそれがないと判断した場合には、当該企業結合を承認し、インド競争委員会が不承認とした企業結合は効力を生じないことになる。

 

インド競争委員会は原則として届出から30営業日以内に一時的な審査結果を出すとされているが、追加的な審査が必要な届出案件については210暦日以内に最終的な審査結果を出す。

 

届出から210暦日を経過した場合は自動的に承認されたものとみなされる。

 

M&Aによる進出①-2

引き続き、M&Aでの進出方法に関して記載していこうと思う。

 

②自動承認ルートの事後届出

外資規制上、政府の事前承認を要しない類型の取引であっても、居住者・非居住者間のインド法人に関する株式譲渡においては、所定の申請書が公認取引銀行(Authorised Dealer Bank)に買収対価の受領後60日以内に提出されなければならない。

 

その際、プライシング・ガイドラインズに沿った公正価格の証明書その他の添付書類も提出されなければならない。

したがって、実務上は、当該証明書の取得も株式譲渡契約におけるクロージングの前提条件とされることになる。

 

③株式譲渡金の後払い

以前は、外資企業による買収の際、売買代金を後払いするには、インド準備銀行の事前承認が必要であり、また、売買代金のエスクロー口座を利用した決済も一定の場合しか認められていなかった。

 

しかし、この点において2016年に規制緩和され、居住者と非居住者の間で株式譲渡が行われる場合、譲渡対価の25%を上限として、株式譲渡契約締結日から18ヶ月以内であれば、インド準備銀行の承認を得ずとも、売買対価を後払いすることが認められるようになっている。

 

これに伴い、当該規制を遵守する限り、株式譲渡代金の後払いのため、エスクロー口座を利用することも認められる。

 

インド企業を不当な価格で買収されないという点においては、インドという国の管理体制は良いと言えるのかもしれない。

 

M&Aによる進出①

M&Aによる進出において、最も一般的なのは株式譲渡である。

 

M&Aに適用される重要な法規制、実務上の流れ、契約の概要について記載していくこととする。

 

まずは法規制に関して。

 

外資規制】

①プライシング・ガイドライン

インド人居住者・非居住者間において、インド法人の株式の取得に関する取引を行う場合、居住者に不利な取引にならないよう、価格規制が存在し、これをプライシング・ガイドラインズ(Pricing Guidelines)と呼ばれている。

 

これは、1999年外国為替管理法の下位規則に基づき、「公正な価格」よりもインド居住者が不利な取引となる場合、当該取引には、インド準備銀行(Reserve Bank of India、略称:RBI)の事前承認が必要となるという規制である。

 

そして、「公正な価格」については、まず、対象会社が上場会社の場合、直近26週の各週次株価終値平均または直近2週の各週次株価終値平均のいずれか高い方の価格となる。

 

非居住者が買主となる場合には、これら以上の価格で買わない限り、非居住者が売主となる場合にはこれら以下の価格で売らない限り、インド準備銀行(RBI)の事前承認が必要となる。

 

 

次に、非上場会社の場合の「公正な価格」とは、以前は、Discount Cash Flow(DCF)法により算定された価格のみが許容されていたが、2014年の規制緩和により、「国際的に認められた価格算定方法による」という基準に変更されている。

 

ただし、具体的にはどのような場合には当該基準を満たすことになるのかについて指針等は存在しないため、実際上は、特定のインド会計士または商業銀行が「国際的に認められた価格算定方法」であるという意見を示す限りにおいて、DCF法以外の株価算定方法も許容されるようになったと理解されている。

 

一方、売買当事者が双方ガイドライン居住者間、または双方インド非居住者間の場合、プライシング・ガイドラインズの適用はない。

 

実務上は、非居住者がインド法人株式を購入する際、当事者間の交渉の結果、相当程度のプレミアムが支払われることが少なくないため、プライシング・ガイドラインズの適用はあまり問題にならない。

 

逆に、非居住者がインド法人株式を売却する際では、プライシング・ガイドラインズの適用により(インド準備銀行の事前承認を得ない限り)売却価格の上限が定められてしまい、非居住者にとっては不利な状況を感受しなければならない局面もあり得る。

 

インドでの現地法人設立の流れ

以下にまとめてみた。

 

DSC及びDINの取得

商号申請

会社設立申請

会社設立証明書の取得(Certificate of Incorporation)

取締役会を登記日より30日以内に開催(会社法173条)

出資者からの資金払込、株式の発行

(払込完了に関するForm INC-21、登録地に関するForm INC-22の提出)

営業開始

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現地法人を設立する以外には、M&Aによる進出があるが、それはまた次回に書くことにする。

M&Aによる進出の最大のメリットは、「お金で時間を買う」面にある。

 

日系企業によるインドにおいてのM&Aの成功例は一般的に少ないと認識されており、その難しさが意識されていると言える。

 

インドの国家体制

初めてインドに行ってきた。

 

インドは世界最大の民主主義国として、1947年の独立以来、一貫して民主選挙に基づく政権交代をしており、クーデター等の混乱が生じたこともない。

 

多数の人種、民族、宗教、言語を抱える多様性があり、合意による意思形成プロセスを重視してきた。

 

インド憲法は、民主主義を支える国家体制として、日本と同じ立法、行政、司法の三権分立による相互監視メカニズムをとっている。

 

2016年11月8日、モディ政権は500ルピー及び1000ルピーの2紙幣の無効化と新紙幣の導入を突如発表した。

当初は紙幣の交換を求める市民が銀行窓口に殺到し混乱も生じたが、票の買収等の選挙の不正が常態化していたインドにおいて、当該政策はブラックマネーの追放に一定の効果があったとされる。

 

また、政府は紙幣廃止に併せて、生体認証ベース(11億人規模)及び、モディ政権が2014年以降国民に開設させた銀行口座(預金残高は1兆円を超える)を利用した電子決済プラットフォームBHIM(Bharat Interface for Money)を導入した。これを機にデジタル決済によるキャッシュレス社会の進展とフィンテックの普及が進むと見られている。